50代を越えて起業した方や何らかの事情で転職された方にお会いすると、不思議な気持ちになることがあります。
お会いしてからずっと、以前お勤めだった会社の話をされる方がいらっしゃいます。その会社の仕事内容やそこでの役職、立場や役割などです。
「あの会社で、当時は部長職でして」「私が、実質的に会社を動かしていました」と言う具合です。
今の仕事、今の自分を売り込まなければならないはずなのに、なぜ以前の勤務先の話ばかりするのでしょうか。
私は仕事柄、高齢者の方々に多く接します。現役時代を懐かしみながら、話してくださるお話は、実に勉強させて頂くことばかりですが、目の前の方は違います。
今の会社、今の仕事を通じてこれからお付き合いさせていただくのですから、今の話を聞かせて欲しいと思います。
なぜ、昔の会社の話ばかりをするのでしょうか。
うがった見方をするつもりはありませんが、今の会社や仕事に満足されていないのでは?と感じてしまいます。
もっと辛辣な言い方をすれば、「俺は、こんな小さな会社にいる人間ではないのだ」「あの会社で、この役職にいた自分には力があるんだ」と、言われているように聞こえてしまいます。
何かの理由でやむを得ず、転職せざるを得なかったのだとすれば、そのような気持ちになる事も分からない訳ではないのですが、もしもご自分の意思と覚悟で起業された方であるならば、昔の自慢話はしてはいけないと思います。
そのような話をどれだけしても、平伏する方なんていません。
むしろ敬遠されることになってしまいます。この事態は起業した者としては避けなければならないと思います。
起業して気づくことに、周りには若い経営者の方々がたくさんいることです。そして50代とは違う若さとパワーで夢に向かってばく進しています。既に一つの成功を手に入れている方もいます。
50代の起業者に、年が上だから、〇〇会社の部長だったから、なんてなんの意味もありません。
自分で起業した事業で見事に成功を手に入れたときに、どこかで誰かが「〇〇会社で部長まで上った人は、やっぱり何をやっても凄い人だね」と、言われるくらいでいいのではないでしょうか。
これからやっていく上で、つまらないプライドなんて捨てていいと思います。
分からない事は素直に教えてもらい、お願いすることは真摯に頭を下げる。そして成功を手に入れる。
その頃には、もう昔の会社や役職なんてどうでもいい話になっていると思います。