50代からの起業、信用力ゼロを覚悟する。

会社を退職すると、自分に付いていた看板を失います。

サラリーマンの業績は、悲しいかなこの会社の看板に守られながらの業績であるとも言えます。

何千万、何億円の契約を成立させる。もちろん担当者としての努力の結果ですし、有能なビジネスマンと評価されますが、先方は最終的に何を信頼して契約するのか。どこに安心感をもって契約するのか。

大きな契約であるほど、何を信頼しているのか。

取引を行う先方の経営者が、自分の会社にとって有益な契約を結ぶのであれば、より安全で信頼のおける会社を選択することは当然です。

納品、施工、技術、工期、支払等々、取引に不安を抱えての契約はありません。大きな契約でのトラブルは、自社に倒産の危機を招く恐れすらあるからです。

あの会社との契約であれば安心。ここが最終判断の要素です。

極端な話しですが、残念ながらそこに担当者が誰であるかは関係ありません。

たとえば担当者が変わったからと言って、契約の打ち切りは起きません。担当者が退職したとしても、新たな担当者がよほどのヘマをいない限り、会社間の取引は継続されて行きます。

いわゆる会社の信用となるわけです。

 

決して担当者の努力を否定する話ではありません。

起業にあたっての話です。

独立起業するとすれば、この現実は直視しておいたほうが良いと思います。

つまり退職することで、この後ろ盾となっている会社の信用を持たないところからのスタートとなるからです。

たとえば、起業して前の勤務先と全く同じ仕事を始めたとします。

起業した新しい名刺を持って訪問したとします。以前の取引先との間ですぐに大きな取引ができるでしょうか。

訪問する人間は同じです。業務内容も同じです。しかも業務に精通しています。以前の担当者なので、人物も理解してもらっています。

それでも、「ああそう、独立したの。まあ頑張って。あなたならやれるよ」「うちもまた頼むことがあれば連絡するよ」と、やんわりと避けられます。

なぜなのか。

看板が外れて、新たな看板を上げたときに、信用力はゼロになっているからです。

信用力ゼロ、実績ゼロ、先方に不安しか与えません。

ただ取引先の担当者だったから知っている、というだけ存在になってしまうのです。

起業はここからのスタートです。

すべてをゼロから作って行く作業になります。

もちろんここが楽しいことなのですが、環境は延長ではなくゼロになっていることを理解し覚悟して進まないと、不本意な結果になるかもしれません。

起業は、ゼロからのスタートだから面白いのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

50代からの起業、なりたい自分になる。

独立や企業を考え始めた理由は。

例えば今の勤務先での状態や将来のことを考えてなど、さまざまだと思います。

しかし本当の理由は、自身の中にこのままで終わっていいのか、本当にやりたいことをやったのか。と言う思いが、芽生えてきたことが正直な気持ちではないでしょうか。

冷静に考えてみると、知識や経験も身についた。ある程度の人脈も作っている。少なからず起業資金もある。もちろん自信もある。

これらの条件を持っていることで、このままこれらを眠らせていいのか。と考えるのだと思います。

しかも思いとどまらなければならない要因を考えてみると、実はさほど大きな障がいも考えられない。とすると、独立や起業に向けて大きく気持ちが動いて行くと思います。

50代を迎えて、今から資金調達を行い大きな負債を抱えて起業しようと考える方は少ないでしょうが、リスクの大きくない範囲の中で、やたいことをやってみたいと考えるのは、むしろ自然のように思います。

残るは不安との葛藤です。

ここで思いとどまるか、踏み切るか。

先日このブログにも書きましたが、一年間の全起業者のうち、46.7%が50代60代の起業です。しかもそのパーセンテージは年々増加しています。

世の中が起業しやすい環境になっていることも一つの理由だと思いますが、今までの自分を振り返り、本当にやりたいことに向けて起業に踏み切る方が増えているのだと思います。

50年の人生が過ぎました。

本当にやりたいことが出来たでしょうか。なりたかった自分になれたでしょうか。もう一花咲かせたい思いはありませんか。

起業は楽ではありませんが、やりたいことで悪戦苦闘を楽しみながら日々を送る。

充実した毎日を楽しむ。

本当になりたかった自分になる、自分のための起業に踏み切ってもいいと思います。

 

 

 

 

50代の起業は、ローリスクなのでしょうか。

50代からの起業は、ローリスクなのでしょうか。

2014年度版の中小企業白書では、2012年調査結果として全起業者のうち 50代14.3%、 60代32.4%、であり、実に全起業者の46.7%が、50代60代となっています。

 

50代は知識あり、経験あり、人脈あり、資金ありと言われます。だからローリスクなのでしょうか。

あわせて、世の中のしくみや儲かるしくみを心得ているから、ローリスクなのでしょうか。

確かにそれは言えますが。

それらは起業しやすい条件を持っている、と言うことだけではないかと思っています。

業種はさまざまですが、起業して小さな会社やお店を持つと、すぐに市場の競争に巻き込まれます。

否が応でも大手、中小、老舗、経験豊富なやり手社長達たちに囲まれながらの商売になります。

どんなに蓄えがあっても、鳴かず飛ばずが続けば資金は無くなります。あきらめてしまえば廃業です。

厳しい環境の中で、再び就職先を探すことになってしまいます。

若い起業家の方々には、やり直すチャンスも時間もたくさんありますが、50代からの起業家は最後の勝負になるのではないでしょうか。

後がない分、むしろハイリスクではないかとも思ってしまいます。

それでも、やりたい仕事で起業するとすれば。

いかに知識、経験、人脈、資金、気力、体力、持っているものすべてをフル活用するかです。

当たり前のことですが、起業に対して過信は禁物です。

毎月一定の給与をもらうことに慣れている分、どこかに甘さがあるかもしれません。

起業して、売れなければ翌月から収入ゼロです。1円も入って来ません。維持するためにどんどん蓄えも減少します。

起業には、本当に覚悟が必要だと思います。

考えて、考えて、休みも取らずに朝から晩まで働いて。趣味も遊びもそっちのけ。オンとオフのバランスも悪くなります。

それでは自分で起業した意味がないじゃないか、と言われる方もいらっしゃると思います。それならサラリーマンのほうがいいと思う方もいらっしゃると思います。

けれど、起業成功率は100%ではないのです。

小さな会社は、簡単に市場から弾き飛ばされてしまいます。

軌道に乗るまで、ある程度の一定収入が得られるようになるまで、頑張りぬかなければなりません。

それが3年なのか5年なのか10年なのか。

それでも好きな仕事で、やり抜く強さがある。

知識、経験、人脈、資金をフルに活用して生き残る強さがある。

これができるから、リスクを回避することができる。

50代起業のローリスクとは、ここにあるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

50代からの起業、25,000人の新社長への仲間入り

起業を考えたときに、はたして日本国内にはどれくらいの数の会社が存在するのだろうか。と、気になりませんでしたでしょうか。

会社を立ち上げて社長に就任すると、日本中の社長の一人に加わるのですから、やはり少し気になるところです。

日本の会社数は、国税庁の「会社標本調査結果」で調べることができます。

平成27年度調査結果では、総数 2,641,848社となっています。

その内、株式会社が 2,490,479社 全体の94.3%、合同会社が 49,807社 全体の1.9%、合名・合資・その他が 101,562社 全体の3.8% となっています。

因みに、平成26年度調査結果では、総数 2,616,485社 ですので、1年間に25,363社 増加しています。

単純に考えて、1年間に25,000人程の社長が誕生してることになります。

登記手続きを終えて、会社が設立されると、この25,000人の新たな社長への仲間入りです。

もちろん設立形態は、株式会社や合同会社、業種に於いてもさまざまですが、間違いなくこの中の一人としてスタートすることになる訳です。

いかがでしょうか。

やる気になって来ませんでしょうか。

この中で自分の思う会社を作ってやろう。苦しくても充実感を味わいながらやって行こう。必ず成功してやろう。そんな気持ちになりませんでしたでしょうか。

一般的な会社生存率という数字をご覧になった方も多いと思います。

5年生存率15%、10年生存率6%と言われています。

1年間に25,000社が誕生したとして、5年後に3,750社、10年後には1,500社しか生き残れないという計算のお話です。

50代からの起業し、5年後に3,750社に入る。10年後には1,500社に入る。そんな会社を作ることは不可能なことなのでしょうか。

今日まで積み上げてきた知識や経験を最大限に活かしながら、思うような会社を運営して、継続する。その力を蓄えてきているのが、50代ではないかと思っています。

挑んで行かなければ、どんな結果も出てこないことを一番知っているのが、50代ではないでしょうか。

10年後、1,500人の社長の一人として立っている自分を見ることができる。

50代からの起業の面白さだと思っています。