50代からの起業、怖さを知っているから慎重になる。だから強い。

30年も働いていると衝撃的な出来事に遭遇してしまいます。

友人知人の経営する会社や取引先の突然の倒産という厳しい現実を目の当たりにすることです。

テレビで見る大企業の倒産ニュースは、なんとなく遠くの事のように感じてしまうのですが、それが身近に起きると衝撃も非常に大きいものです。経営者だった方の心中を察すると本当に辛い思いがします。

しかも身近で起きた出来事は、決まってその後の様子を耳にすることになります。

「家も土地もすべて無くしたらしい」「奥さんや子供さんは近くのアパートに移ったらしいが、本人は何処に行ったか分からないらしい」「一時は羽振りが良さそうだったけど、実情は火の車だったらしい」など心無い噂話も含めて、まさに言われ放題です。

経営者だった方は本当に忸怩たる思いだと思います。

問題はこの衝撃的な出来事、特にその後の様子の話を聞いて「倒産は怖い」「すべてを無くしてしまう」と自身の潜在意識の中に刷り込まれてしまうことです。

50代からの起業を考えたとき、躊躇する要因の一つはここにあると思います。

「もしも倒産したらどうする」「家族や周りの方々に多大な迷惑をかけてしまうかもしれない」「もしもの時、もう年齢的にやり直しがきかない」と考えてしまうのではないでしょうか。

けれども、この怖さを知っているから強いと思います。

倒産の怖さを目の当たりにした数だけ、起業準備にも慎重になれるのではないでしょうか。

起業する前も起業した後も多少の無理はしても、リスクを高める無茶はしない。常にリスクを最小限に抑える手法を考える。

倒産の怖さを知っているからできるのではないでしょうか。

必要以上に臆病になる話ではありません。

起業する限り成功を目指して進みます。しかし一時的な成功に興味はないはずです。10年20年と続くことができる土台のしっかりした強い会社を目指していると思います。

理由はさまざまだと思いますが、倒産原因のほぼすべてが資金のショートと言われています。つまり、極論ですがお金さえあれば倒産は回避できるのです。

潤沢な資金があるならば、数か月間売り上げが無くても会社を維持することはできます。もちろんこれでは何時か資金が枯渇してしまいますが。

と、するならば起業の準備段階から初期投資の額や固定費の抑制など可能な限りの策を練り上げることができるのではないでしょうか。

起業すればその日から社長就任です。駅前一等地の綺麗なオフィス、営業部門の社員や総務経理部門の社員、当初は何名体制で、お店の開業ならばこだわり抜いた店舗のオーナー、なんてイメージすると思います。

しかし、資金枯渇のリスクを回避するしっかりとした仕組みを作る。華々しいスタートでは無くても、ガッチリと土台を固めながら一つ一つ積み上げていく仕組みを作ることが大切なのではないでしょうか。

私は今でもこの姿です。

ちょっと泥臭いようですが、奇をてらわず、生き残る会社を作って行くことができるのが、世の中の怖さを知っている50代だと思っています。